エルメスとオトミ族

;エルメスとメキシコ先住民の関係

  http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110810-00000101-mai-int


  『欧米の世界的な大企業がメキシコ先住民族の文化に熱視線を注いでいる。フランスの高級ブランド「エルメス」先住民族の一つ、オトミ族の伝統的な刺しゅうを新作スカーフのデザインに採用し、3月から日本など40カ国で売り出している。

  オトミ族の知名度は上がり、デザインの使用料は地元の学校改修費などに充てられた。だが、先住民族を取り巻く社会環境は依然、厳しく、村民の半数が米国に出稼ぎに行かざるを得ない貧困の構造は変わっていない。


  【サンニコラス(メキシコ中部)で國枝すみれ】  ◇伝統のアートをデザインに  鳥、ロバ、トウモロコシの収穫を祝う村人−−。踊るようなデザインとカラフルな色。


  刺しゅう糸の風合いまで再現されたエルメスの25色刷りの絹スカーフは「人と自然の邂逅(かいこう)」と名付けられ、今年の春夏コレクションとして発表された。

  エルメスは08年3月、メキシコ市にある大衆芸術博物館の協力を得て、メキシコ中部イダルゴ州の山中に住むオトミ族の絵描きを探し出した。


 「エルメスは世界中の美しいものを常に研究しており、パリ本社は3年前からオトミ族の刺しゅうに目をつけていた」。


  エルメス・メキシコ
支社の広報担当、イベス・ラゴス氏が明かす。  メキシコ市から北東に車で5時間行くとイダルゴ州テナンゴデドリアに着く。


 「岩と岩との間」という意味だ。さらに、うねる山道を約40分登ると、刺しゅうの発祥地サンニコラス村が姿を現す。約3000人の村民はオトミ族だ。
 
 スカーフのデザイン下絵を描いたのは村の元小学校教師、エセキエル・ビセンテさん(51)。

 「2歳のころから絵を描いているが、イメージはどんどん湧く」。そう言うと木綿布にさらさらと筆を走らせた。イメージの源は村の聖地だ。天を指す高さ45メートルの岩がそびえ、村人は「世界の中心」と信じる。

  近くにはスペイン人に追われたオトミ族が隠れた岩山があり、蛇、鶏、少女などの壁画が残る。  


  メキシコ全土に約28万人を数えるオトミ族テナンゴデドリア教会パブロ・ガルシア神父は「オトミは霧のようなもの。恥ずかしがり屋でおとなしく、山中に隠れて、遠くからはっきりと見えない」と説明する。


  そのため混血があまり進まず、刺しゅうなどの伝統文化を守ってきたという。

  ビセンテさんはエルメスのスカーフのデザイン候補として10枚の下絵を描き、サンニコラスと隣村サンパブロエルグランデの女性計7人が刺しゅうを施した。

  エルメスはその中から二つの柄を選び、使用権を計5000ユーロ(約57万3000円)で買い取った。支払いの半分を大衆芸術博物館が受け取り、残りはサンパブロエルグランデの小学校改修費に使われた。


  エルメス社の担当者は「刺しゅうはオトミ族全員の財産。(スカーフの)プロジェクトに参加した女性だけで分配すると不公平になるので、全員が利益を得られるよう、小学校の改修に充てることで女性たちと合意した」と説明する。

 「村はうち捨てられた場所だった。オトミ族の文化が世界中で認知され、作品がもっと売れるようになるかもしれない」。自分のデザインが採用されたビセンテさんは「エルメス効果」に期待する。


  だが、エルメスのスカーフが1枚5360ペソ(約3万7000円)もすると知り、驚いている。ビセンテさんは下絵1枚を150ペソ(約1040円)で売って生活しているのだ。


  ◇72%が貧困生活 背景に植民地支配   1521年にメキシコを征服したスペイン人先住民族を支配し、その文化を破壊した。

  メキシコ政府の統計によれば、国内に暮らす先住民族1130万人のうち72.6%が貧困生活を送り、98万人が公用語であるスペイン語を話すことができない。乳児死亡率は国内平均の2倍だ。  


  オトミ族の女性は5〜7歳で刺しゅうを覚え、家事の合間に刺しゅうの作品制作に取り組む。2メートル四方の大作となれば、完成までに数カ月から2年近くかかる。だが、市場では仲買人に買いたたかれ、平均月収は約800ペソだ。  


  マルガリータ・ロペスさん(50)は小学校2年まで、リディア・カヘロさん(55)は3年までしか進学できなかった。スペイン語を話せないため、他に職はない。


 「刺しゅうは食べていくための手段。手作業しながら考えるのは子どものこと、そして、どうやって生きていくかだ」と口をそろえる。

 サンニコラスでは貧困のため、村民の半分が米国で出稼ぎ生活を送る。ビセンテさんの長男も14歳だった18年前、国境の川を泳いで単身渡米した。ビセンテさんの8人の子どものうち4人が米国で働いている。


 イダルゴ州政府によると、テナンゴデドリア地区の小さな村では2000年当時、人口の22%が栄養失調だった。6年前から州政府が、12歳以下の子どもを持つ母と子への朝・昼食の無料配給を開始した。


 ◇他のブランドも注目  エルメスだけでなく、メキシコに暮らす先住民族の伝統文化を見直す動きは広まりつつある。

  米運動靴メーカーのコンバースは04年から、メキシコ南部オアハカ州ミシュテコ族に白い靴とインクを提供し、スニーカーに絵を描いてもらう「ペインティング・ステップス」プロジェクトを開始した。


  ミシュテコ族はココナツの皮に動物を彫る伝統があったことから白羽の矢が立った。13人のアーティストが月に65足ほど制作する。1足3000ペソ(約2万円)。売上金は半分がアーティスト、半分は村のコミュニティーセンターの建設費となる。
 
  コンバースで社会事業を担当するカリーナ・デロスサントス氏は「上流階級が先住民族の伝統文化に目を向け始め、先住民族は自分たちの価値に目覚め始めた。企業は先住民族に資金を援助するのではなく、アートという収入手段を提供することで、(経済などの)グローバリゼーション(地球規模化)と伝統文化の懸け橋になれる」と話す。


 メキシコ中西部に住むウイチョル族ドイツ自動車大手フォルクスワーゲンから提供を受けた乗用車ビートルの車体を7カ月かけて230万個のビーズで飾り、神話の世界を描いた。

 まばゆいビーズの衣装をまとったビートル大衆芸術博物館で展示中。今後、オークションにかけられる。

 ◇オトミ族  紀元前5000年前後からメキシコ中部に住む農耕民族で、現在もイダルゴ州、ミチョアカン州、ケレタロ州などで暮らす。オトミ語を持つ。』
 


  世界的なブランド「エルメス」。


  
映画「電車男」で憧れの人が「エルメス」と言われていたので、ブランドに興味がない人にも日本ではかなり名前が浸透している。
 
  そのフランス企業「エルメス」メキシコ先住民の刺繍の柄に目をつけた。それをエルメスのブランドスカーフの柄に採用すると言うもの。

  最近ではエルメスだけでなく、コンバースなど大企業から先住民アートを生かそうと言うプロジェクトも幾つかあるようである。


  そのアイデアは素晴らしいと思う。


 世界的なブランド企業が採用したとなると、今回のオトミ族の刺繍自体、価値が上がってくるだろう。

 ただ、一つ文句を言わせてもらえば、エルメスにしては金額が少なすぎると言う事。使用権を計5000ユーロ(約57万3000円)で買い取ったという事だが、それを元に何万ユーロを儲けるエルメスだ。
 
  ここはメキシコ先住民の貧困バックアップと言う点からももう少し大きな額を出して欲しかった。 その使用権料だって、支払いの半分を大衆芸術博物館が受け取り、残りはサンパブロエルグランデの小学校改修費に使われたという事は、実際にオトミ族には2500ユーロしか入っていないと言う事。


  これはビジネスだからと言ってしまえば、それまでだが、できたらこれを機会に貧困改善プロジェクトなど立ち上げてもらいたいもんだ。社会貢献としてね。


  そうする事で、エルメス自体にも社会的認知度、信頼度が上がると思うけど・・・。  


  メキシコの公用語スペイン語だけど、メキシコの先住民の中にはスペイン語がうまく話せない人もかなりいる。 

  公文書など全てスペイン語メキシコだから、スペイン語が話せない、読めないのは他の職に就けないと言うのに等しい。肉体労働しかない。


  オトミ族には幸い、素晴らしいアートがあるのだから、それをもっと生かして、子供達にはきちんとしたスペイン語教育を施すようになってほしい。

  そうでないと、オトミ族はいつまで経っても、メキシコ社会の底辺で喘がなければならないのだ。





  メキシコにはチアパス州のサパティスタというゲリラがいる。ゲリラと言っても、人を殺害したり破壊行為をしたりするのではない。先住民の生活を良くすることを目的としたメキシコ反政府組織と言った方が適当だろう。


  メキシコは貧富の差が激しいし、先住民族は言葉の問題もあり、搾取の対象になってきた。   

 世界的なブランド企業「エルメス」がこれを気に、そういう長い目で見た貧困改善のバックアップをしてくれたらな、と願わずにいられない。

posted by 世界好奇心 at 11:14 | メキシコ