ところが今回は、オリンピックという祭典を彩るどころか、世界各地で問題の種を投げつけているように思える。
聖火リレーが全く本末転倒した儀式に思えてしまうのは、僕だけだろうか?
僕には今回の聖火リレーについて、2つ憂慮する部分がある。
先ず一つは、チベット人権擁護者が実力行使で聖火を奪うこと。これは逆効果だと思んだよね。世界に誤解を与えかねないから。
聖火リレー取材に集まったマスコミを使ってチベット人権問題を主張するのと、聖火リレーを力ずくで妨害してチベット問題を主張するのとでは全然意味が違う。
暴力を行使してでも、自分達の主張を押し通すのが正義?
聖火リレーを妨害する事で、インパクトを上げ、マスコミに大々的に取り上げてもらう。
もしかしたら、狙いはそれかもしれない。
今回の聖火リレー、僕には日本の捕鯨船に不法侵入したオーストラリアのNGOの方法とダブって見える。
良識ある人には、チベット擁護派は中国の侵略を批判しているが、チベット擁護派も暴力で自分達の主張を訴えている。本質的には同じではないか。そのように見えると思う。
だからこそ、チベット人の最高指導者ダライ・ラマ14世は、暴力は止めるよう訴えているんだと思うんだよね。
聖火リレー妨害行為を容認してしまえば、今までの主張が根底から崩れるから。
僕のもう一つの憂慮は、「そこまで各地で問題を起こしてまで、聖火リレーを行わなければいけないのだろうか?」ということ。
世界を回る聖火リレーは、実は今回で2回目。 前回のアテネオリンピックから始まったのだ。
それまではオリンピアのあるギリシャから五輪開催国までを聖火リレーで結んでいたにすぎない。世界中を回っていたわけじゃないんだよね。
ところが前回のアテネオリンピックは地元ギリシャで行われた。それで初めて世界各地を回る聖火リレーが採用されたというわけ。
そんな経緯を頭に入れて、下記を読んでもらうと僕の言ってる事、理解してもらいやすいかも。
それにしてもこの聖火。エベレスト(チョモランマ)まで行くって知ってました?
そのニュースがこれ。読売新聞から抜粋です。
『 【ニューデリー=永田和男】北京五輪聖火リレーが5月初旬、世界最高峰エベレスト山(標高8848メートル、中国名チョモランマ)に登頂するのを前に、ネパール政府は20日、同山の高度約6500メートルの第2キャンプに、高山での活動に習熟した特別治安部隊25人の配備を終え、必要なら発砲する許可も与えて抗議行動の警戒に当たっていると明らかにした。
聖火リレーの登頂は中国側から行われ、具体的日程は天候を見て決められるが、ネパール政府は、チベット暴動鎮圧に抗議するデモ隊が自国側から山頂に近づくのを防ぐため、5月1〜10日の間は高度7500メートル以上に上ることをどの登山隊にも禁じている。
ネパール国内にはチベット難民約2万人がおり、カトマンズの中国大使館前では抗議行動で連日、数十人から数百人の逮捕者が出ている。 』
「中国名チョモランマ」じゃなく、「チベット名チョモランマ」と書くべきだと思うけど、今回のポイントはそんな事じゃないです〜。

治安部隊に発砲許可。それって流血事件が起こる可能性もあるって事を宣言している。
でもなぜ危険を冒してまで、聖火をチョモランマまで持っていく必要があるんだろう?
何の為に???
ネパールってチベット人がインドに亡命する時に通るルートだよ。で、チベット関係者だっていっぱいいる所。チョモランマ自体、チベット名だからね。
元々、聖火リレーって五輪の宣伝をし、協力して成功させようというものじゃないの?
もうただ国の面子だけでやっている感じがして仕方ない。
本来の聖火リレーの趣旨からはずれて、それが原因で紛争が起こるくらいなら聖火リレーなんてやめたほうがマシだ!
そう思うわけです。